かやはら行政書士ブログ 第66回 行政書士と職務上請求②

戸籍①

前回の続きです。

行政書士は、「職務上」必要な場合は、本人の同意なしで戸籍や住民票を請求することができますが、それには当然ルールがあります。

事例を参考に、請求できる場合と出来ない場合について説明します。

 

事例①相続

親が亡くなり相続が発生した相談者から、相続人が誰かを調べて「相続関係説明図」という書類を作成することを依頼されました。

相談者の親は離婚歴があり、前配偶者との間にも子がいると聞いているのですが、相談者は一度も会ったことがないとのことでした。

前配偶者との間に子がいる場合は、その子も相続人になります。

相談者は相続人です。

「相続人の中の1人」から依頼されただけですが、この場合は相談者を含めて他の相続人の戸籍や住民票を請求することができます。

行政書士は相談者からの依頼に基づいて、集めた戸籍や住民票から「相続関係説明図」という書類を作成します。

 

事例②不動産

とある土地を購入したい不動産屋さんが、法務局でのその土地の所有者を調べました。

そして、土地の不動産登記簿に記載された住所に「土地を買いたい」という内容で手紙を送ったのですが、そこの住所に所有者はいませんでした。

その不動産屋さんから「所有者の住所を追跡することができないか」という相談を受けました。

残念ながらこの場合は所有者の戸籍や住民票を請求することができません。

不動産屋さんは単に「土地を売ってくれないか」という交渉をしたいだけで、所有者に対して何らかの権利を持っている訳ではないからです。

 

次回に続きます。

つづく

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かやはら行政書士ブログ 第65回 行政書士と職務上請求①

住民票①

このブログをご覧の皆様は、市役所に行って自分の住民票や戸籍を請求して取得したことがあると思います。

また、委任状を書いてもらって家族の分を取得したことがある方もいると思います。

通常住民票や戸籍は、本人や本人から委任を受けた人しか請求することができません。

 

しかし、行政書士を含む士業には仕事(職務)上で必要な場合は、住民票や戸籍を本人の同意なしで請求し、取得することができる権限があります。

 

今回から、行政書士の「職務上請求」について説明します。

戸籍①

ここまでを読んで、行政書士が個人情報である住民票や戸籍を勝手に覗いているのではないかと不安になった方もいるかもしれません。

 

当然ですがそんなことはありません。

本人の同意なしで住民票や戸籍を取得することができる権限の行使にはルールがあります。

あくまでも「職務上」必要な場合に限られています。

 

「職務上」必要な場合とは、どんな場合でしょうか。

そして「職務上」必要な場合にならないのは、どんな時でしょうか。

次回は、その具体例について説明します。

つづく

かやはら行政書士ブログ 第64回 申込書と契約書③

契約②

前回の続きです。

前回は申込書の具体的な活用方法について説明しました。

「これを買いたい」、「このサービスを受けたい」という「申し込み」の意思表示に対して拒否をすることがあれば申込書は必要です。

また、申込書には申し込みのみに関する条項が書いてあればよく、契約に関する内容は契約書に書いてあれば問題ありません。

 

今回は契約書について説明します。

「第62回 申込書と契約書①」でも説明しました通り、「申し込み」に対して「承諾」をすることによって「契約」は成立します。

一部の例外はありますが、原則として口頭であっても問題なく成立します。

つまり契約書を作らなくても全く問題ありませんし、契約書を取り交わさなくても成立している契約はたくさんあります(日常生活における契約はほとんどこちらでしょう。)。

 

では、契約書を作成したほうが良いのはどんな場合でしょうか。

結論から言いますと

(1)規模が大きな契約

(2)サービスの提供と代金の支払いに間が空いてしまう契約

以上の2つのケースです。

 

(1)については、規模の大きな契約は何かトラブルが起きた場合の規模も大きくなってしまいます。

そうならない為に、またはトラブルが起きてしまった場合の責任と負担を明確にする為に契約書を作成したほうが良いでしょう。

 お金①

(2)については、「サービスの提供」と「代金の支払い」の間が空けば空く程、その期間中に人為的なものや自然災害も含めて何らかのトラブルが起きる可能性が高くなります。

トラブルが起きると、そのままスムーズに契約を完成させることができない、場合によっては契約と取り消さなければならないこともあり得ます。

 

「サービスの提供」と「代金の支払い」の間で起こり得る様々なトラブルを想像して、「こういうトラブルが起きたらこのように対応する、その負担をだれが負うか」を予め定めておくことで、争いを起こさずにトラブルを解決することができます。

 

当事務所では、契約書の作成代行だけでなく契約書に関するアドバイスも行っております。

お気軽にお問い合わせください。

おしまい①

かやはら行政書士ブログ 第63回 申込書と契約書②

契約①

前回の続きです。

「申し込み」とは、「これを買いたい」、「このサービスを受けたい」という意思を表すことであり、これに対して「承諾」をすることによって「契約」が成立することを説明しました。

 

次に申込書をどのように活用すべきかについて説明します。

結論から申し上げますと、「申し込み」に対して拒否をすることがなければ申込書は不要です。

逆に言えば「申し込み」に対して断ることがある場合は、申込書を使用した方が良いでしょう。

例えば、アパートの賃貸借の場合、「借りたいです」という「申し込み」に対していきなり賃貸借契約を締結することはないでしょう。

先ず、申込書に氏名や住所、勤務先や年収などを記入してもらい、その内容からアパートを貸しても問題がないかどうかを審査します。

そして審査の結果、断ることもあります。

 断る①

申込書には、「申し込み」したい人の氏名や住所、電話番号、日付等を記入する欄を設けることが一般的ですが、他にどのようなことを書いておいたら良いでしょうか。

これは当職の意見ですが、審査結果についての理由を説明するかどうかについて書いておいた方がよいでしょう。

当事務所で申込書の作成代行を行う場合、お客様から特にご希望がない場合は審査理由について説明しない旨の条項にしています。

 

申込書には、「申し込み」に関することを書いておけばよく、契約に関する様々な条件や約束は契約書に書いてあれば問題ありません。

 

次回に続きます。
つづく

かやはら行政書士ブログ 第62回 申込書と契約書①

書類②

今回のタイトルは「申込書と契約書」です。

どちらもよく耳にする名前ですが、何か違いがあるのでしょうか。

今回から申込書と契約書の違いや、実務上でどのように使ったらよいかについて説明していきます。

 

先ずは「申込書」ついてです。

これは文字通り「申し込みをする書類」です。

では、「申し込み」とは何でしょうか。

簡単に言うと「これを買いたい」、「このサービスを受けたい」という意思を表すことです。

これを書面にしたものが「申込書」です。

「申し込み」の意思の表示は口頭でも文書でもどちらでも有効なのですが、プライベートでもビジネスでも重要な場面での「申し込み」は文書にしたほうが良いでしょう。

 

但し、この「申し込み」は口頭でも文書でも誰かが一方的に「買いたい」とか「サービスを受けたい」と言っているだけです。

つまりこの時点では何かを約束した訳ではありませんし、誰かに何かの義務を負わせることもできません。

 

では、「申し込み」を受けた側はどうしたらよいのでしょうか。

「申し込み」を受けた側は、それを「承諾」するかどうかを検討します。

そして「承諾」することになった場合は、それを「申し込み」した人に伝えます。

 

「申し込み」に対して「承諾」をする。

これによって「契約」は成立します。

一部の例外はありますが、原則として「申し込み」の意思表示に「承諾」の意思表示をした時点で、それが口頭であっても「契約」は成立します。

 

次回に続きます。
つづく

かやはら行政書士ブログ 第61回 建物賃貸借契約のトラブル(退去してくれない)②

アパート①

今回も第59回に引き続き、建物賃貸借契約のトラブルについて以前相談を受けたある事例を参考にして説明します。

 

相談者のAさんは貸家の貸主で、借主のBさんが契約違反をした為、ある日を期限と定めて退去することになったのですが、Bさんは退去せず、そのことについて何も連絡がない、ということでした。

 

私は先ずAさんに落ち着いた対応をしなければならない、と伝えました。

また、物理的に退去を強制させるような行動を取らないように、とも伝えました。

 

その後、Aさんには具体的な行動として、以下のことを伝えました。

(1)先ずはBさんと連絡を取る。訪問でも電話でもどちらでもよい。

訪問でも電話でも、話をすることができたら感情を抑えて冷静に対応する。

また、いつ、誰とどんな内容の話をしたかについてメモを残しておく。

もしその場で何らかの合意が出来れば、それをすぐに書面にしてBさんの署名と捺印を取る。

連絡を取る時間帯にも注意する。夜中や早朝は避ける。

 電話①

(2)訪問や電話で連絡が取れない場合は、手紙を送る。この段階では普通郵便でよい。

手紙を書いて、直接Bさんのポストに入れても良い。

ただし、手紙をドアや窓ガラスに貼り付けたりすることはしない。

1回で反応がなくても、もう1、2度は通常の手紙で対応する。

 

(3)手紙にも何も反応がない場合は、内容証明郵便を利用する。

内容証明郵便についての説明はまた別の機会とさせていただきます。

内容については、基本的には手紙ですのでどんな内容にするかについて決まりはありません。

ただし、(1)から(2)の流れで手紙を書く訳ですから

1・やってほしいこと

2・上記1に対する期限

3・上記2の期限内に、上記1で求めたことをしなかった場合、どのようなことをしようとしているか

少なくとも以上の3つについて書いた方が良い。

 手紙①

(4)ここまでやったにも関わらずBさんから何も反応が得られない場合、Aさんが出来ることはここまでではないかと思います。

 

以上のことを伝えました。

 

尚、これ以上のことを行うには、裁判所の利用を検討しなければなりません。

その場合、弁護士に相談されることをお勧めする、とも伝えました。

 

住まいとしての建物賃貸借契約は、トラブルになると解決が難しくなります。

そうならない為にも契約時の審査や、入居後の管理をしっかり行わなければなりません。

以上です。

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