かやはら行政書士ブログ 第48回 遺言書のはなし

遺言①

少し前にあったとある相談です。

このブログをご覧に皆様も、こんな話を聞いたことがありますでしょうか。

 

Aさんは、お年寄りのBさんの身の回りの世話をしていました。

Aさんは、Bさんの家族や親戚ではなく、単なる知り合いです。

ですがそれなりに親しい間柄だったようです。

 

しばらくしてBさんは高齢者施設に入ることになったそうです。

Aさんは、Bさんが高齢者施設に入所する際にも、いろいろお手伝いをしたそうです。

Bさんは、Aさんに高齢者施設に入所後も支援を続けてほしいと伝えたそうです。

また、その見返りとしてBさんの死後にBさんの財産の一部を与えるという約束をしたそうです。

 

そしてBさんは亡くなりました。

AさんとBさんの間には上記の約束を記した書面や、Bさんの「Aさんに財産の一部を与える」という内容の遺言書もありませんでした。

老人①

そのような状況で当職に相談してきたのです。

 

これはもうどうしようもありませんでした。

ただ普通にBさんの財産はBさんの相続人に相続されておしまいです。

AさんがBさんの相続人にこれまでの経緯を説明すれば、Bさんの相続人から遺産の一部を譲ってもらえるかもしれませんが、そうなるかどうかはBさんの相続人次第です。

Aさんには「お願い」することはできても「権利」はありませんでした。

 

「相続」ができるのは「相続人」だけです。

それ以外の人に遺産を譲りたい場合は、遺言書を作成しましょう。

また、そのような約束をしたら遺言書を書いてもらいましょう。

 

当事務所では、遺言書原案の作成代行も取り扱っています。

かやはら行政書士ブログ 第16回 遺言④

前回の続きです。

遺言を書いたほうが良い場合とは、の最終回です。

 

ケース⑦ 事業をしていて、相続人の一部に事業を継がせる予定。

個人で事業をされている方の事業用の資産は個人の財産です。

ご自身で会社を設立して代表者をしている方は、その会社の株式が個人の財産です。

 

それらの財産を子供に引継ぎさせる場合、様々なパターンがあります。

 

(1)子が1人・その子に事業を引き継ぐ意思がある。

(2)子が1人・その子に事業を引き継ぐ意思がない。

(3)子が複数・子の中に1人だけ事業を引き継ぐ意志がある。

(4)子が複数・子の中の複数人に事業を引き継ぐ意思がある。

(5)子が複数・子の全員に事業を引き継ぐ意思がない

 

(1)の場合は遺言の必要性はほぼないでしょう。

(2)と(5)の場合は生きている間に子ではない後継者に事業用の財産を贈与するか、遺言によって贈るしかありません。相続人でない方に財産を渡すにはこれしかないからです。

(3)と(4)の場合も生きている間に子に事業用の財産を贈与するか、事業用の財産が後継者に集中するような内容で遺言書を書いたほうが良いでしょう。

事業用の財産が複数人にバラバラに相続されることを避けるためです。

ただし(4)の場合は事業を引き継ぐ意思を持ちながら、それがかなえられなかった子がいますので、その子に対する親のフォローが必要でしょう。

また、事業用財産を引き継ぐ子とそうではない子の関係を良好に保つ努力をしなければなりません。

そのフォローの一手段をとして生命保険の活用があります。

つまり生命保険の受取人を事業を継がなかった子にすることで事業用財産を渡さなかった埋め合わせにする、という方法です。

但し、生命保険の保険金は必ずしも相続財産とはならない場合がありますので、生命保険を活用してもしなくても親子や兄弟姉妹の関係を良好に保つ努力はし続けなければなりません。

※ここでも「遺留分」という権利が関係しますが、ここではその説明は省きます。

かやはら行政書士ブログ 第15回 遺言③

前回の続きです。

遺言を書いたほうが良い場合とはどんなケースでしょう。

 

ケース④ (男性のみ)認知していない子がいる。

結婚をしていない男女の間に生まれた子供の母親は、一般的には子を産んだ女性です。

(医療の進歩によってそうとは言えないケースも増えてきましたが)

では父親はどうでしょうか。

父親はその子を「認知」することで法律上の親子関係が生じます。

反対に父親が認知しないと、父親と子の間に法律上の親子関係はなく、子の戸籍の父親の欄は空欄のままです。

この「認知」を遺言でも行うことができます。

遺言で認知を行えば親子関係が生じますので、自分の財産を子として相続させることができます。

血のつながりはあっても法律上の親子関係がない状態を最後に変えたいとお考えの方は、遺言を検討してもよいかもしれません。

 

ケース⑤ 相続人が誰もいない。

本当に相続人が誰もいないかどうかは戸籍を調べないと分からないものですが、調べた上で誰も相続人がいない方は遺言を検討してみてはいかがでしょうか。

相続人が誰もいない人の遺産は国のものになります。

国のものになることで世の中の役に立つことがあるかもしれませんが、ご自身の意思で個人や団体に遺産を遺すのもよいかもしれません。

この場合「●●に自分の財産を差し上げます。」だけでなく「それを実行する人として●●さんを指名します」と書いておくことも大切なことです。

 

ケース⑥ 相続人以外に、自分の財産を贈りたい人がいる。

ケース⑤と異なり相続人はいるが、相続人ではない人に遺産を遺したいとお考えの方は遺言書を書かなければなりません。

遺言書がなければ遺産は必ず相続人に相続されるからです。

また、相続人の中に特に多く遺産を遺したい人がいる場合も遺言書を書かなければなりません。

遺言書がない場合、遺産の分割は相続人間の話し合いで決まります。

相続人たちの話し合いで決まる以上、望みどおりに分割されるとは限らないからです。

※ここでも「遺留分」という権利が関係しますが、ここではその説明は省きます。

 

もう1回だけ続きます。次回は「遺言④」です。

かやはら行政書士ブログ 第14回 遺言②

前回の続きです。

遺言を書いたほうが良い場合とはどんなケースでしょう。

 

ケース① 両親は既に亡くなり、子供もいない。

この場合、相続人は配偶者と兄弟姉妹になります。

兄弟姉妹には「遺留分」という権利がありません。

「遺留分」とは何かの説明はここでは省きますが、兄弟姉妹の相続人にはこれがない為、「自分たちにも取り分がある」と主張することができません。

言い換えれば、少なくとも兄弟姉妹の相続分に関しては遺言を書いた人の希望通りに遺産を分けることができます。

 

ケース② 内縁の妻、又は夫がいる。

「内縁」とは結婚している人と同じように暮らしているが役所に婚姻届けを出していないカップルです。

内縁であっても婚姻届けを出しているカップルと同じような権利や義務が認められている部分もあります。

ですが相続はそうではありません。

配偶者は常に相続人ですが、内縁関係には相続権がありません。

自分に万一があったときにパートナーを困らせないためにも、「パートナーに自分の遺産を遺す」という内容の遺言書を書いておきましょう。

 

ケース③ 相続関係が複雑

例えば複数回結婚したことがあり、それぞれの配偶者との間に子がいるというケースを考えてみましょう。

親の片方は異なっても子は全員兄弟姉妹となります。

その子達の間に交流があればよいのですが、ない場合には相続が発生したことにより今まで交流がなかった兄弟姉妹達で遺産をどのように分けるかの話し合いをしなければなりません。

話し合いがうまくまとまるかもしれませんが、子にとってはなかなかのストレスでしょう。

それを避けるためにも「私の遺産はこのように分ける。そしてその作業をやってくれる人として●●さんを指名する」、と書いておきましょう。

そうすれば、子達が負う負担を減らすことができます。

※これには「遺留分」という権利が関係しますが、ここではその説明は省きます。

 

次回「遺言③」に続きます。

かやはら行政書士ブログ 第13回 遺言①

地元牛島にて「行政書士による無料相談会」を開催します。

 かやはら行政書士ブログ 第12回 無料相談会を開催します。

をご覧ください。

地元牛島の皆様、是非ご活用ください。

 

「遺言」というと皆様はどんなイメージをお持ちでしょうか。

映画やドラマの中では高齢の資産家が遺言を書いてそれを巡って子供や兄弟が争っている、というようなイメージをお持ちの方が少なくないと思います。

 

そのようなイメージから「遺言なんてお金持ちが関係していることで、自分には関係がない」と思っている方も多いと思います。

そして多くのケースでは実際その通りでしょう。

 

ですが「映画やドラマで描かれているようなお金持ち」でない方にも遺言を書いたほうが良い場合があります。

どんな場合が該当するかについて次回は書いていきたいと思います。

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