2020/06/10
かやはら行政書士ブログ 第68回 行政書士と職務上請求④
前回に引き続き、行政書士の職務上請求について、事例を参考に請求できる場合と出来ない場合について説明します。
事例③請求書など の続き
AさんはBさんにお金を貸し、Bさんはお金を返さないまま引っ越ししてしまいました。
Aさんは、行政書士にお金を貸した証拠として契約書を示して「Bさんの住所の移転先を調べて、お金を返してほしいという内容の手紙を自分に代理して書いてほしい」と依頼しました。
依頼を受けた行政書士は、Bさんの承諾なしにBさんの住民票や戸籍を調べて、Bさんの引っ越し先に「お金を返してほしい」という内容の手紙をAさんに代理して作成し送りました。
この後、BさんからAさんに連絡がありお金を返してもらいました、となれば良いのですが、必ずそうなるとは限りません。
Bさんから何の反応もない、ということは十分あり得ることです。
そうなったらAさんや行政書士は何ができるのでしょうか?
実は、行政書士はこれ以上のことはできません。
Aさんが行政書士に依頼したことは、「Aさんの代わりにBさんに手紙を書いて送ること」です。
手紙を書いて送ったことで行政書士の仕事は完了しています。
そして大切な「Bさんの住所に関する情報」も、行政書士が「手紙を送る」為に集めた情報なので、それ以外に使用することはできません。
当然Aさんに教えることもできません。
「全然意味ないじゃないか!!」と思う方もいるかもしれませんが、行政書士が職務上必要な場合に本人の同意なしで戸籍や住民票を請求できる権限は、この位厳しいルールで制限されているのです。